将来の自宅の買い換えに備え、母親持分についての家族信託の検討事例|解決事例

状況
お客様は、現在母親と2人で暮らしています。もともと父親や2人の兄・弟と6人で暮らしていた家であるため、2人で暮らすには少々広く使い勝手が良くありません。近くに、住宅供給公社の建て替えマンションの計画が浮上したため、そちらの購入の契約しました。但し、大規模なマンションであるため、引き渡しは3年後となります。最近、少しずつ父親が心身共に弱ってきており、若干物忘れも増えてきたように思えます。新しいマンションの購入代金については、現在の自宅を売却して得たお金を充当する予定ですが、引き渡し=支払の時期までの間に、母親が認知症になってしまい、自宅の売却や売却代金の振り込みが出来なくなってしまったらどうしたら良いのか、と心配されていました。
• もともと父親名義の不動産を、母親とお客様(長女)の2名が相続した。
• 4人兄弟姉妹の3番目で、他の兄弟は独立して家を出ているが、お客様は父母の介護などをしつつ、同居を続けている。未婚。
• 住み替えを検討し、新築予定のマンションの購入契約をしたが、引き渡しは3年先。お客様の資金のみでは、購入代金には足りない。
• 他の兄弟との関係は比較的良好。
司法書士の提案&お手伝い
まず、ご希望を通すために、家族信託以外の選択肢(相続時精算課税制度を利用した生前贈与や、任意後見契約)が無いか、検討をしました。結果、やはり家族信託が一番適切であることが分かったため、司法書士として以下の手続きを提案・サポートしました。
1. 家族信託スキームの作成
o ご要望に基づき、やや複雑で分かりにくい家族信託の登場人物や役割を、図にした上でご説明し、何度か打ち合わせと修正を経て、家族信託の形を決定しました。
2. 家族信託契約書作成 及び 公正証書化のサポート
o 上記のスキームを契約書に落とし込みました。その上で、公証役場とやりとりをし、案文の修正や予約など、公正証書化するためのサポートを行いました。
3. 不動産の名義変更(所有権移転及び信託登記)と、信託口座開設のサポート
o 母親の持分を信託を原因として移転する登記を行いました。また、お金の出入りを管理する口座を開設するため、信託口口座の取扱がある金融機関を探し、開設手続に同席させていただきました。
結果
信託登記は無事に完了し、不動産の名義はお客様固有の持分と、受託者として預かっている持分に変更されました。これにより、自宅売却のタイミングで、母親が認知症になってしまっていても、母親の署名等は無しに自宅を売却することができます。また、新しいマンションの購入資金の一部に充てることも可能になりました。
司法書士のポイント
この事例では、他の兄弟との関係性が良く、また母親から他の兄弟への生前贈与などもあり、残余財産帰属権利者(信託が終了した際に残っている財産を取得する者)を、お客様にすることに問題が無かったため、スムーズに手続きを進めることが出来ました。家族信託の場合でも、常に『遺留分』を意識して進めることが必要になります。
また、家族信託のご相談ということでいらっしゃいましたが、1に生前贈与、2に任意後見契約を検討しました。生前贈与は税金的に、任意後見契約はお客様のご意向にあわなかったため、家族信託として進める、という方針を決定しました。家族信託は便利な制度ではありますが、まだスタートして時間が浅く、判例が少ないため解釈が分かれる部分もあります。また、初期のコストとしては他の選択肢よりも大きくなりがちです。
当事務所では、ご相談の際には、様々な角度から検討をさせていただきます。お客様のニーズに応じた適切な手続きとなるようにご提案し、場合によっては家族信託以外の選択肢も提案させていただきます。
家族信託に関するご相談は無料で承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
この記事の執筆者

- 司法書士佐伯啓輔事務所 代表司法書士 佐伯啓輔
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保有資格 司法書士、民事信託士 専門分野 相続、遺言、生前対策 経歴 司法書士佐伯啓輔事務所代表。 平成24年4月、新横浜に「司法書士佐伯啓輔事務所」を開業。親身で解りやすい解説に定評があり、大手ハウスメーカーや企業福利厚生部門、会計事務所でのセミナー・相談会実績多数。相続発生前の『争いの予防』、相続発生後の『心理的負担の軽減』を様々な角度から提案し、相談者からの信頼も厚い。
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